漢方養生特集
養生とは
生を養う、すなわち人間の身体の状態を整えることで、健康を増進し病気の自然治療を行うことです。
日本では貝原益軒(かいばらえきけん)が「養生訓(ようじょうくん)」を著し、運動、栄養、休息をいずれも過不足なく生活することの重要性を説きました。
貝原益軒
江戸時代生まれの本草学者、儒学者です。生来からだが弱かったのですが、養生につとめて85歳の長寿を全うされました。大和本草(やまとほんぞう)、養生訓などの名著で知られています。中でも養生訓は自身の実体験の基づき、健康養生法を説いており現代もその教えは大切なものとなっています。
著書「自娯集」「慎思録」「大疑録」の3部作ほか、「大和本草」「大和俗訓」「和俗童子訓」「君子訓」「養生訓」「女大学」など
貝原益軒の教え
人の命は、もとより天にうけて、生まれつきたれども、養生よくすれば長し。養生せざれば短し。然れば、長命ならむも、短命ならむも、我が心のままなり。
「長寿を全うできるもの、短命に終わるものも、全ては自分の努力しだい」と、説いています。
心は身の主也、しづかにして安らかしむべし。
「心は身体の主である。静かに安らかにしておかなければならない」と、説いています。
健康十訓
- 少肉多菜(しょうにくたさい):肉を少なく、野菜を多く
- 少塩多酢(しょうえんたさく):塩を少なく、酢を多く
- 少糖多果(しょうとうたか):砂糖は少なく、摂取は果糖で
- 少食多噛(しょうしょくたぎょう):少なく食べて、よく噛む
- 少衣多浴(しょういたよく):薄着でよく、風呂に入る
- 少言多行(しょうげんたぎょう):言葉少なく、実行する
- 少欲多施(しょうよくたし):欲望を控え、施しを多く
- 少憂多眠(しょうゆうたみん):くよくよせず、よく眠る
- 少車多歩(しょうしゃたほ):車に乗らずに、よく歩く
- 少憤多笑(しょうふんたしょう):あまり怒らず、よく笑う
※「健康十訓」とは、江戸時代にとある俳人が書いたといわれているが、諸説あり。
※記載順番、言葉の言い回し、解説意図も諸説あり。
四季の養生
春:精神の養生
春の木の芽時、精神の養生に努める
春は、冬に蓄えていたエネルギーを解放し活発になります。同時に精神活動も上昇し解放します。
順調にエネルギー(気)を解放できればよいのですが、有り余った気が上昇していくと、怒りっぽくなったりします。逆に、気がストレスなどで阻害されると「五月病」のような不安感にかられたり、朝起きられなくなります。
養生法︰上向きに気が流れすぎて、少しのことで怒りっぽくなったときは、趣味などでリラックスしたり、スポーツなどで発散するとよいでしょう。また食べ物は酸味のあるものを積極的に取り入れましょう。できるだけ朝は早めに起きて、気の流れを動かすために軽く運動し、夜は早く寝て暴飲暴食を避けましょう。
夏:活動力の養生
陽気が盛んになる夏場は、過剰に消耗しないように滋養する
植物は、春の木の芽時から花をつけ、実をつけます。
万物のすべての陽気が盛んになりますが、過度に気の消耗で蓄えていたものが消失すると、活動力が減退します(夏バテ)。夏の暑さで消耗しないよう、身体を冷やす果物や苦いものを取り入れます。エアコンや水分も積極的に取り入れますが、過剰にしすぎるとかえって消耗してしまいます。
養生法︰タンパク質を多く摂りましょう。朝は炭水化物を多く摂ります。苦みのある食べ物(ゴーヤ等)も積極的に取り入れ、身体の消耗を防ぎ滋養してください。貝原益軒も「夏は胃腸を冷やしすぎない。温めること」と説いています。特に日本人は島国独特で胃腸の弱い人が多くいます。あまり冷たいものを摂りすぎず、エアコンに当たりすぎず、身体を冷やしすぎない事が肝要です。
秋:基礎体力の養生
花は実を結び生命を収めます。同様に身体も基礎体力を養っていく
気候も過ごしやすく万物が実を結ぶ時期で、そのようなときのエネルギー(気)は内に蓄えられます。
この時期は夏の消耗の回復と、基礎体力作りが大切となります。秋は乾燥の時期です。潤い不足に気をつけましょう。また、気の運行が滞りやすく、気分が憂いやすい時期でもあります。
養生法︰白物の炭水化物(白米など)をしっかりと摂り、ウオーキングなどを継続し、基礎体力をつけていくとよいでしょう。また、憂うつな気分のときは香りのよいもの(香辛料など)をとって、気の巡りをよくしたり、読書でリラックスするなどの方法をみつけていくことが大切です。
冬:蓄えの養生
生物はエネルギー発散を防止し、奥に蓄えます。人も余分なエネルギー消費を抑える
生活環境が昔と大きく変わり、暖房などで活動しやすくなって、消耗が進みやすくなっています。ただでさえ、冬は夏以上に同じ活動していても、余計にエネルギーを消費します。とにかく熱エネルギーの外への発散を極力抑え、蓄えることが必要です。
養生法︰エネルギーを蓄えるために、保温防寒、栄養補給が必要です。まずは身体の熱を逃がさないこと、その上で温まる食材(温野菜、黒い食材)を積極的に摂るのがよいでしょう。また、お風呂に浸かるなど、外から身体をしっかりと温めることも大切です。
エソラ漢方の健康豆知識
2025年には、65歳以上の高齢者5人に1人は「認知症」になるといわれています(厚生労働省発表)。高齢者にとって適度な運動は、認知症のリスクを減らすことが疫学的、科学的にも証明されています。
最近の研究によれば、認知症の予防にウォーキング歩数8,000歩(週3回)がよいといわれています。食事は日本食を選びましょう。魚介類に多く含まれるDHAやEPAなど、脳血流によい食事が多いため、予防によいとされています。
あとは「人生を有意義に過ごす」ことです。定年のない画家たちが極めて長寿なのは、生涯現役を貫いているからだといわれています。脳に定年退職はありません。定年後も有意義に楽しく生活することが最大の認知症予防になります。
一に食事、二に運動、三四がなくて、五に漢方
病気になりにくい環境作り(ストレスなどを溜め込まないこと等)が大事であり、それだけ生活習慣は重要だということです。そのうえで適切に漢方を用いてください。漢方薬は、自然と一体化した考えから成り立った医学です。
腎虚とは?
漢方での「腎(じん)」とは腎臓のことだけではありません。「活力・生命力の源」のことも含めて「腎」といいます。誰でも年齢を重ねるにつれ、身体の機能に衰えが生じます。加齢や心身の疲れにより「活力・生命力の源」が弱ったり衰えたりすることを「腎虚(じんきょ)」といいます。加齢による身体の変化を緩やかにする知恵が、漢方にはあります。
腎虚による疾病
無月経・希発(きはつ)月経などの月経異常・無精子症・インポテンツ・早漏などの生殖器異常・不妊症・前立腺肥大・慢性腎炎・頻尿・腰痛症・夜尿症・失禁・下痢・便秘症などの排泄異常・ヘルニア・脱臼症・骨粗鬆症・慢性関節リウマチ・骨格や関節の異常・かすみ目・視力障害・白内障などの眼科疾患・難聴・耳鳴り・めまいなどの耳鼻科疾患・老人性痴呆・不眠症・脱毛症・発育不良
腎虚の方におすすめの漢方
牛車腎気丸
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、腎虚のための処方です。漢方薬で有名な八味丸(はちみがん)と比較して、より腰から下の衰えによい処方です。足腰の弱り、排尿に関するお悩み、下肢の痺れや冷えなどに。
牛車腎気丸が効く人、効く症状
エネルギー(腎陽・じんよう)不足・疲れやすく、根気がない・体がだるい・腰から下に、なんとなく脱力感があって頼りない・精力が衰えてきた・筋骨の衰え・足がしびれやすい・足に力が入らない・ひざがガクガクして転びやすい・腰が痛い・頻尿・残尿感などの排尿に関する症状・夜間尿が多く、夜何度もトイレに起きる・小便の出が悪い・陰分不足による燥証の症状・のどが渇き、よく水を飲みたくなる・肩や首の後ろがこる・手足がほてる、あるいは夏は手足がほてって困るのに、冬になると冷えて痛い
河野竜二の道くさ日記
鵜戸(うど)神宮は、宮崎県の南部に位置する日南市にあります。安産・育児・縁結びなど、女性の健康を祈願する有名な神社です。
普通は本殿まで登って行くのですが、ここは本殿が下りたとこにある「下り宮(くだりみや)」と呼ばれ、「日本三大下り宮」の中に数えられます。海辺の大きな崖の洞窟の中にあり、神社から見る海は、一度見たら忘れられないくらいの絶景です。洞窟も自然の力でできたもので、県外から多くの観光客が来るのもわかる気がします。
所々に、うさぎの置物があり、洞窟内には「なでウサギ」があります。なでると病気が治る、願いが叶うともいわれています。ほかにも有名なもので「運玉」があります。手作りの素焼きの運玉が作られ、自然でできた岩(亀石)のくぼみに向けて投げ入れ、くぼみに入ると願いが叶うそうです。なげ方にはルールがあり、女性は右手・男性は左手で投げます。亀のくぼみに入った運玉は回収され、縁起や運がよいということでお守りとして、その後販売されています。
自然の力が楽しめる鵜戸神宮の絶景は、行っただけでも運気が上がりそうな場所でした。皆さまも、ぜひ一度は行ってみてください。
