肩こりに悩まされている方へ
肩こりは、首から背中の上部にある僧帽筋の緊張が持続し、血流状態が悪くなった状態です。漢方でみる肩こりは、主に3つに分類されます。
気滞血瘀
気滞血瘀(きたいけつお)は、精神的ストレスや運動不足からくる場合
身体の「気」と「血」が停滞し、精神的なストレスや運動不足で気の流れが滞ることで、肩こりの原因となります。更年期からの激しい肩こりも、精神的ストレスが停滞し、瘀血(おけつ・組織内に古い血液が停滞している状態)を発生させるのが原因です。
柴胡疎肝湯
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)は、ストレスを感じる方に。
柴胡(さいこ)を含み、気のめぐりを強化した漢方処方で、ストレスによる気鬱(きうつ)やいらだちをともなう肩こりに効果があります。
加味逍遙散
加味逍遙散(かみしょうようさん)は、のぼせが気になる方に。
柴胡、芍薬(しゃくやく)、牡丹皮(ぼたんぴ)の生薬を含み、肩こりをはじめ、冷え・のぼせ・いらだち・気鬱・不眠がある方に効果があります。
当帰芍薬散
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、低血圧気味の方に。
芍薬を含み、冷え性・貧血・低血圧傾向で首や方の筋肉が少ない人の肩こりに適しています。
抑肝散加陳皮半夏
抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)は、頭痛やめまいをともなう方に。
柴胡を含み、神経の高ぶり・怒り・興奮をともなう肩こりに効果があります。「釣藤鈎(ちょうこうとう)」が配合されているので、頭痛やめまいなどをともなう肩こりの方にもおすすめです。
桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、下半身が冷える方に。
牡丹皮・芍薬を含み、比較的体力があり、のぼせで足が冷える方の肩こりに適しています。
痰湿凝滞
痰湿凝滞(たんしつぎょうたい)は、雨の日や湿気が多い日に方が痛くなる場合
水分代謝が悪く滞り、肩こりになった状態です。余分な水分がたまり、肩に集まることで冷えを生じ、肩こりを引き起こしてしまいます。
雨の日や湿気が多い日に方に痛みを感じる方も、このタイプに当てはまります。
五苓散
五苓散(ごれいさん)は、むくみが見られる方に。
むくみが見られる肩こりは、水分代謝が悪くなる「水毒(すいどく)」によるものです。体内の水分調整を整えることにより、肩こりを軽減することができます。
五苓散は実証・虚証に関係なく服用できます。
風寒侵入
風寒侵入(ふうかんしんにゅう)は、風邪をひいたときや寒いとき方が痛む場合
これは、風邪や寒さにさらされた場合に起こるとされています。
例えば、寒い中薄着をしたり、冷たい風を浴びたりすることで体表面の毛細血管が収縮し、血流が悪くなります。そのため痛みを感じる場合があります。
葛根湯
葛根湯(かっこんとう)は、風邪のとき方が痛む方に。
ウイルスや菌を排除するとともに、身体を温めて血管を拡張し、発汗することで身体の表面に表れる肩こりを取り除きます。甘草(かんぞう)や芍薬を含むことで鎮痛効果もあり、痛みを改善します。
頭痛に悩まされている方へ
頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」があり、ほとんどが病気が原因ではない「一次性頭痛」です。一次性頭痛は主に3つに分類されます。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、こめかみや後頭部が締め付けられるような感じがあり、頭重や痛みがじわじわと長続きします。
精神的ストレスや運動不足で、頭や肩が緊張し、血行が悪くなるために引き起こされます。
緊張型頭痛は、筋肉内の老廃物を排出することが必要です。
葛根湯
葛根湯(かっこんとう)は、ひきはじめの風邪に使用する漢方ですが、発熱がない慢性頭痛にも効果があります。
身体を温め血行をよくすることで、緊張型頭痛に効果があります。背中の筋肉もほぐすことで、肩こりも軽減できます。
※葛根湯は急性病の漢方のため連用服用はできません。
片頭痛
片頭痛は、頭の片側が痛むほか、同時に両方痛むこともあります。光や音にも反応し、吐き気も起こります。痛みは強く、72時間ほど持続することがあります。
水分代謝のバランスが悪く、特に身体の上部に水分が停滞することで、頭痛やめまいが起こります。
片頭痛は、自律神経を落ち着かせ、ストレスの解消をすることが必要です。
五苓散
五苓散(ごれいさん)は、水分代謝を調整することで、吐き気やむくみを緩和します。天気の影響で頭痛が起こる方におすすめです。
苓桂朮甘湯
苓桂朮甘湯(れいけいじゅつかんとう)は、メニエール病の治療にも使います。動悸やめまい、耳鳴りをともなう頭痛に効果があります。特に身体の上部の余分な水分を代謝します。
群発頭痛
群発頭痛は、目の奥をえぐられるような激しい痛みで、多くの場合、年に1~2回、期間は1~2ヶ月、毎日のように激しい頭痛が起こります。
水分代謝のバランスが悪く、頭部の血管が拡張することによって痛みが生じるとされています。
群発頭痛は、血管の拡張による炎症を抑えることが必要です。
清上蠲痛湯
清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)は、水分代謝や頭部の血流を促します。三叉神経痛や、目からくる頭痛に効果があり、特に首の上の痛みに用いられます。
古い血液が多いと判断された場合には、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などの駆瘀血剤(くおけつざい)を一緒に服用すると効果があります。
Kawano Cooking
シソ(大葉)を使って料理をしました!
薬味の代表に数えられる「シソ」は、独特の香りで料理を華やかにしてくれる食材です。
シソには発汗作用、解熱作用、胃液の分泌をよくして胃腸の働きを整える作用、魚介類による食中毒の解毒・予防などが期待されています。
風邪の症状や胃腸の不調にもよいとされており、漢方薬にも広く用いられています。
