ストレスによる心身の不調に漢方薬
現在、新型コロナウイルスの影響で、心身の不調の相談を数多くいただいています。
少しでも心身的疲労がある方は「理気剤(りきざい)」をお試しください。めぐりが悪くなった「気」を整える漢方薬です。
自分の体質に合えば、漢方薬はかなりの効果が期待できます。
ストレスの発散ができず、神経が高ぶるタイプ
こんな症状
- 神経過敏
- チック症
- 更年期障害
- 顔面けいれん
- 怒りっぽい
- 貧乏ゆすり
- 登校・出勤前の体調不良
抑肝散加陳皮半夏
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんちんぴはんげ)は、登校・出勤前になると腹痛や頭痛が起こる方、ストレスの多い中間管理職の方、受験生の精神安定剤としても応用されています。
鎮静作用を持つので、自律神経系の失調をともなっている場合や、頭痛が気になる方にも効果があります。
元来は「小児のひきつけ」に対する漢方でした。
とにかく下肢がむくみ、食生活が偏っているタイプ
こんな症状
- むくみ
- 関節痛
- 更年期障害
- 水太り
- 全身倦怠感(特に下肢)
- インスタント食品やお菓子が好き
九味檳榔湯
九味檳榔湯(くみびんろうとう)は、精神不安・動悸・起床時の顔やまぶたのはれ・帰宅後の下肢の浮腫・疲労や倦怠感が気になる方へ。水太りの肥満にも効果があります。
九味檳榔湯はほとんどが理気薬から構成され、胃腸や胸部の気滞(きたい・気のめぐりが悪く停滞している状態)・動悸・息切れなどを改善します。
女性特有の諸症状があり、低血圧でイライラするタイプ
こんな症状
- 月経不順
- 低血圧
- 手足の冷え
- 肩こり
- 更年期障害
- めまい
- 術後や産後の体力低下
芎帰調血飲第一加減
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)は、低血圧傾向でイライラしやすいなど、女性の諸症状に効果があります。子宮内膜症や生理痛の痛みが激しい方や、ストレスによる背中の痛みにも。
産後の不調をはじめ、数年前の出産が原因と考えられる場合にも適しています。
寒証タイプで、頭痛・肩こり・耳鳴り・動悸に効果あり。男女を問わず、虚血、うっ滞をともなう循環器疾患や下肢静脈瘤などに効果があります。
疲れがたまっているのに眠れない、不眠症タイプ
こんな症状
- 神経衰弱による寝汗
- 疲れによる不眠
- 嗜眠(しみん・昏睡よりも軽度の状態)
酸棗仁湯
酸棗仁湯(さんそうにんとう)は、
- 眠っても夢ばかりみるという方
- 高齢者の不眠
- 過度な疲れで眠れない方
におすすめする漢方薬です。胃が強い人に。
酸棗仁湯を1日3回飲んでも、睡眠薬のように日中眠くなることはありません。服用した翌朝、眠りから覚めたときの気分は爽快です。
極度の疲れからくる嗜眠にも用いられ、神経衰弱による寝汗にはとてもよい効果を示します。
身も心も弱り、心(精神)の疲れがつらいタイプ
こんな症状
- 疲れやすい
- 不眠
- 血色が悪い
- 慢性の不正出血(鼻血・痔・皮下出血など)
帰脾湯
帰脾湯(きひとう)は、
- 眠りが浅く夢をよくみる
- 夜間によく目が覚める
- 日中も寝てばかりいる
のが特徴の不眠におすすめです。胃が弱い人に。
帰脾湯は、「心血虚」と「脾気虚」が同時に発生した症状を改善する漢方薬です。
※心血虚:不眠・動悸・健忘・不安感など
※脾気虚:疲労感・食欲不振・軟便など
のぼせ、イライラ感があり、皮膚がカサつく方に
こんな症状
- 月経困難
- 目のかすみ
- 更年期障害
- 手足のしびれ
- 皮膚炎
- のぼせ
- 肌の色ツヤが悪い
温清飲
温清飲(うんせいいん)は、「血虚血熱」の病態からの諸症状に用います。
※血虚(けっきょ):目のかすみ・手足のしびれ・慢性の炎症や出血・充血・自律神経系の興奮
※血熱(けつねつ):のぼせ・イライラ・口渇・発疹・全身的な栄養不良状態
温清飲は、内側を温め、外側を冷やす意があります。合方することで、それぞれの処方の寒熱が緩和されて体調がよくなります。
ストレスで胸脇や腹が痛み、憂うつでため息が出るタイプ
こんな症状
- 肩背のこわばり
- 胸脇痛
- げっぷやガス
- 神経痛
- 即胸部痛
- イライラ
- 腹痛(生理痛含む)
柴胡疎肝湯
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)は、不定愁訴(なかなか原因を特定できない身体の不調)や、精神的ストレスからくる症状に用いられる漢方薬です。
柴胡疎肝湯には抗ストレス作用があり、肋間神経痛、腫瘍の痛み、頭痛や腹痛(生理痛含む)など、痛みに対して効果があります。
あれこれ思い悩む取り越し苦労タイプ
こんな症状
- 驚きやすい
- 憂うつ
- 日々不安
- 胸焼け
- 胃腸衰弱での不調(不眠・頭痛・めまいなど)
温胆湯
温胆湯(うんたんとう)は、不安で物事が決断できず、不眠や不調につながるタイプに。驚きやすい・憂うつなどの精神症状のほか、食欲不振などの消化器症状も改善します。
温胆湯は痰熱を除き、痰熱が引き起こす精神症状や消化器症状を改善、さらに胆を強めて胆力(決断力)をつけます。
※痰熱(たんねつ):身体の水分が停滞し、熱を持ち粘性化することで不調を引き起こします。
非常に不安感が強く、イライラしやすく神経質
こんな症状
- 強い不安感
- 緊張感
- 激しい動悸
- 神経質
- ヒステリー性の心悸亢進(不安や恐怖心が強い人)
苓桂甘棗湯
苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)は、茯苓(ぶくりょう)には利水(りすい)・鎮静・強心の働きがあり、鎮静・精神安定作用が期待できます。
パニック障害などの不安神経症、神経性心悸亢進、心臓神経症、ヒステリー、神経衰弱、ノイローゼなどの精神神経疾患に応用されています。
脾胃の水毒症状にも効果があり、胃拡張、胃液分泌過多、激しい腹痛を訴える胃痙攣、イレウスなどにも効果があります。
Kawano Cooking
ランチプレートを作りました!
精神的疲労によいといわれている食品でランチプレートを作りました。ぜひお試しください。


納豆キムチ
大豆には、大豆イソフラボンが多く含まれています。その中でも、トリプトファンやレシチンは神経のイライラ感を抑える働きがあり、脳を活性化させます。

ほうれん草の胡麻和え
ほうれん草には、貧血予防に重要な鉄やビタミンC、葉酸が豊富に含まれています。脳神経伝達物質セロトニンが増加し、抗うつ効果を持つといわれています。

シソの胸肉焼き
シソに含まれるペリルアルデヒドは、胃の粘膜の血流をよくし、潰瘍や炎症を修復します。またシソは、精神を安定させる効果が高く、入眠作用もあります。

黒ゴマきんぴら
黒ゴマは、神経の働きをよくし、造血・浄血作用があるので、血流の滞りを改善します。

生姜味噌汁
生姜は、ストレスを緩和し、身体を温める作用があります。