つい先日、こどもの日でしたね。こどもの日に「鯉のぼり」を飾るのは、子どもに対する親の願いや思いが込められています。
鯉のぼりは「鯉の滝登り」という有名な民話が由来です。「登竜門」と聞いてピンと来る方も多いのではないでしょうか。龍門という急流を登りきった鯉は龍になる、という伝説です。
普通の魚が高貴な「龍」になるという話は、縁起物となり「鯉のぼり」が誕生することになります。子どもの成長を祝って掲げる鯉のぼりには、「龍」のように大きく成長を願う家族の願いが込められています。
さて、漢方にも「竜」がつく生薬があるのをご存じでしょうか。
中国最古の薬物学の書物に上品(不老長寿薬)と掲載され、漢方名は「竜骨(りゅうこつ)」といいます。
竜骨は精神を落ち着かせる作用(安神作用)を持ち、「重鎮安神薬」とよばれています。
神経衰弱、夜泣き、ヒステリーなど精神がゆらぎやすい子供に適しています。大人も服用できるので、うつ病や不眠症などに効果があるといわれています。
竜骨はその名のとおり死んだ竜の骨であるとされていましたが、正体が何であるかは古くから議論になっていたようです。最終的には「象の化石」であると決着しました。
現在、日本での「竜骨」は大型哺乳動物の化石と定義されています。数ある生薬の中でもかなり特殊な材料のため、竜骨を配合している製薬会社は少数です。
日本で流通している竜骨は、ほとんどが中国からの輸入品です。高品質で効果が高いといわれ人気がありますが、材料が化石であるため、将来的には枯渇するという大きな問題をかかえています。
竜骨の有名産地には恐竜化石を発掘した拠点が複数確認されており、竜骨の中にも恐竜の化石が混在している可能性があるといわれています。竜骨の中に恐竜の化石が含まれていることが認められたとしたら、輸入停止も考えられます。
万が一、恐竜の化石の産地の「竜骨」がもっとも効果が高いとすれば、不老長寿の薬とされていたのは本当に龍の骨(恐竜の化石)だったのかもしれませんね。