食べ物が少なくなる冬に備えて、よく食べて体に蓄えておくのは動物本来の本能からきています。
この時期は外気が乾燥するため、胃腸の働きが良くなり、食欲が増します。夏場の多量の水分補給で弱った胃腸が、乾燥によって元気を取り戻すからだと考えられます。
さらに冬になると、冷えによって「腎(じん)」が弱りがちになります。その結果、むくみや水太りが起こりやすく、体がブヨブヨとした体形になりやすくなります。体重が気になる方は、食欲の増加や冷えに十分注意する必要があります。
食欲を安定するために必要なのが「睡眠」「食事」「ストレス解消」です。
睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモンのバランスが乱れ、食べたいという欲求が強くなります。食べないと満足できない気持ちになることもあります。睡眠は十分にとりましょう。
食べ物は旬のものを食べること。サツマイモや里芋、ゴボウ、レンコンなど。大根はすりおろしにすると消化を助けてくれます。
新米は胃腸に負担がかかるため(※)食べ過ぎた翌日は「お粥」で食べて胃を休めることも大事です。
ストレスは、自律神経の交感神経を優位にさせることで、食べる欲求が高まり過食傾向になります。
食べ過ぎ防止には漢方薬も有効です。
胃の働きが強くなると、お腹がすぐ空いたり、食べ過ぎたりします。これは「胃熱(いねつ)」が原因なので、胃熱を取る漢方の「黄連解毒丸(おうれんげどくがん)」を服用します。胃熱を取ることで安定した食欲になります。

ストレスが原因の食べ過ぎには「柴胡剤(さいこざい)」が効果的。生薬の「柴胡(さいこ)」は、ストレスが原因の過剰な胃腸の働きを抑え、自律神経やホルモンバランスを整えて、ストレスによる過食を防ぐ働きがあります。

柴胡剤には、「大柴胡湯(だいさいことう)」や「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などがあります。
- 大柴胡湯:主に食欲旺盛で太りやすい体質の方に。
- 柴胡桂枝湯:もともと胃腸が弱いのに食欲がある方に。
- 加味逍遙散:特に女性でホルモンバランスが影響して食欲が増える方に。
その人に合う漢方は体質で異なりますので、店頭でお気軽にお問い合わせください。
※ 薬草辞典 本草網目より

